看護師1年目で辞めたいのは甘え?1年で辞めた私と、職場を変えた同級生たちのその後
「まだ1年目なのに、辞めたいなんて甘えなのかな」
仕事に行くのがつらい。でも、辞めたあとのことを考えると、それも怖い。そんな気持ちを抱えたまま、毎朝、職場に向かっていませんか。
私は44歳で看護師になり、1年で辞めました。同級生のなかにも、新卒で入った病院を離れ、別の病院へ移った人たちがいます。
「せっかく看護師になったのに、辞めて後悔しない?」
「病院を変えても、看護師として働き続けられる?」
この記事では、実際に新卒で入職した病院を辞めた5人のその後を紹介しながら、「1年目で辞めたいのは甘えなのか」を考えます。
今すぐ辞めるかどうかを決めなくても大丈夫。まずは、最初の病院を離れた私たちが、その後どうしているのかを読んでみてください。
結論:看護師1年目で「辞めたい」と感じるのは、甘えではありません
「まだ1年目だから」という理由で、今のつらさを甘えと決めつける必要はありません。
仕事に慣れていないことと、つらくても我慢し続けなければならないことは、別の話です。
まず知ってほしいのは、「辞めたい」と感じているのは、あなただけではないということです。
調査では、約8割の看護職員が「仕事を辞めたい」と回答
日本医労連の「2022年看護職員の労働実態調査」では、仕事を辞めたいと「いつも思う」が24.0%、「ときどき思う」が55.2%。合わせて79.2%でした。出典:日本医労連の調査資料
これは1年目だけを対象とした調査ではありません。それでも、回答した看護職員の約8割が、辞めたい気持ちを抱えていることが分かります。
「辞めたいと思う自分は、看護師に向いていないのかも」
そう感じていても、その気持ちだけで適性や、あなた自身の強さを決めつけなくていいのです。
1年目で、最初の病院を離れる人もいます
日本看護協会の「2025年病院看護実態調査」によると、2024年度の新卒採用看護職員の離職率は8.4%でした。出典:日本看護協会
この数字は、勤めていた病院を離れた人の割合です。全員が看護師そのものを辞めたわけではなく、別の病院へ移った人も含まれます。
私のように看護師を辞める人もいれば、同級生たちのように働く病院を変える人もいます。
大切なのは、「甘えかどうか」で自分を責め続けるよりも、何がつらいのか、どうすれば無理なく働けるのかを考えること。
最初に入った病院で働き続けることだけが、あなたの選択肢ではありません。
最初に入職した病院を離れた同級生と先輩、4人のその後
ここからは、私の同級生3人と、入職先の先輩1人の話です。
転職して働いている人もいれば、今は休養を選んでいる人もいます。それぞれが最初の職場を離れて、どうしているのか。順に見ていきましょう。
※個人が特定されないよう、一部の情報をぼかしています。
Cさん|10ヶ月で退職し、介護施設へ。先輩との関係が変わった
Cさんは、高校卒業後すぐに看護の道へ進んだ同級生です。きつい指導と夜勤が合わず、最初の病院を10ヶ月で辞めました。
次に選んだのは、介護施設でした。
そこで出会った先輩看護師は、以前の病院とはまったく違うと感じるほど、やさしかったそうです。Cさんは居心地のいい職場を見つけ、今も働き続けています。
もちろん、施設なら必ず人間関係が良好というわけではありません。それでもCさんの話を聞いて、私は「最初の病院で経験したことが、看護の現場のすべてではないんだ」と感じました。
Aさん|6ヶ月で退職。次の職場も3ヶ月程度で退職したが、その後も場所を変えて活躍できている
Aさんは私と同じ、社会人経験を経て看護師になった同級生です。
新卒で入職した病院では、指導役の先輩と合わず、きつい指導に心が折れて6ヶ月で退職。
次に選んだのは、新卒があまり行かない終末期の病院でした。
実はその病院も、すぐに辞めています。
それでもAさんは今、病院以外の施設で看護師を続けています。
転職するときは、「今度こそ失敗できない」と思いがちです。でも、一度で合う職場に出会えなかったからといって、そこで道が閉ざされるわけではありません。
Aさんは、働く場所を選び直しながら、看護師を続けています。
看護師という資格の一番の強み。「転職先を見つけやすい。辞めても次の道はなくならない」のです。
Dさん|1年半で公立病院へ。給与の条件を見直すきっかけに「公務員看護師」という選択
Dさんは同級生ではなく、私が入職した病院の1つ上の先輩です。
公務員から看護師になった、社会人経験のある方でした。
勤務のきつさに加え、2年目から任される仕事の負担や、それに見合わないと感じる給与。そうした理由で1年6ヶ月で退職し、公立の総合病院へ移りました。
当時40歳前後だったDさんによると、転職先では新卒とは大きく違う給与額になったそうです。私もその話を聞いて、病院によって給与の決まり方が違うことを意識しました。
ただし、「公立病院なら年齢が高いほど得をする」とは言い切れません。公立でも職員が公務員ではない病院があり、給与の扱いも勤務先によって異なります。例:大阪公立大学の採用Q&A
社会人経験のある人は、応募先に「これまでの職歴が給与にどう反映されるか」を確認してみてください。実際に、職務経験に応じた給与加算を案内している自治体もあります。例:横浜市立病院の採用案内
Bさん|7ヶ月目から休職。今は、休む時間を選んでいる
Bさんも、社会人経験を経て看護師になった同級生です。大きな病院に入職し、7ヶ月目から休職しました。
本人は、病棟の看護方針が合わなかったと話しています。現在も復帰せず、休養しています。
Bさんの話には、まだ「転職して元気に働いています」という結末はありません。
それでも、この記事に載せたいと思いました。職場を離れたあとの選択肢には、すぐに次の仕事を始めることだけでなく、いったん休むこともあるからです。
自分を回復させる時間を選ぶのも、立派な選択です。
4人が選んだ道は同じではありません。転職した人も、いま休んでいる人も、最初の職場で働き続ける以外の道を選べました。1年目で辞めても、看護師のキャリアは終わりません。

👉 あわせて読みたい:看護師の転職先は病院だけじゃない。転職のときに実際に探した「病院以外の就職先」と看護師の仕事
それでも自分を責めてしまう3つの言葉
甘えではないと分かり、職場を離れた人の話を読んでも、すぐに気持ちが軽くなるとは限りません。
「3年は続けるべき」
「せっかく資格を取ったのに」
「みんな頑張っているのに、私だけ」
誰かに言われなくても、頭の中で繰り返してしまう言葉です。でも、その言葉だけで、これからの働き方を決めなくてもいいと思うのです。
「3年は続けるべき」——続ける年数だけで決めなくていい
経験を積むことで、できることが増えたり、仕事が楽になったりすることはあると思います。
「総合病院の病棟で3年働けば、大抵どこでも使いものになる」という暗黙の認識のようなものが看護師の世界にはあると思います。
でも、「3年続けなければ次がない」というわけではないということを、複数の同級生の例から学ぶことができました。
心身をすり減らしながら、年数だけを目標に踏ん張る必要はありません。
「せっかく資格を取ったのに」 離れても、学んだことは残る
社会人上がりというハードルを乗り越え、必死で勉強して実習をやり抜いて、一生懸命頑張った末に取った資格だからこそ、「辞めたらもったいない」と感じるのは自然です。
私は看護師を辞めましたが、学んだことまでなくなったわけではありません。事務職に移った今も、看護の知識に助けられる場面があります。
資格を取るために頑張った時間は、あなたの一部です。
その努力を大切にするために、今の職場にとどまり続けなければならないわけではありません。
「みんな頑張っているのに、私だけ」 つらい思いを人と比べなくていい
同じ病棟で働いていても、体力や家庭の事情、人間関係は一人ひとり違います。周りが平気そうに見えても、同じ負担で働いているとは限りません。
眠れない、ため息が出る、出勤前にお腹が痛くなる、緊張で胸がドキドキする。
そんな不調を、「みんなも頑張っているから」で片づけないでください。誰かが続けられることと、あなたが無理なく続けられることは、別です。
自分は自分。人と同じでなくていい。むしろ同じになりたくない。
発想を変えればきっと別の道が見えてきます。
辞めたいのは「今の職場」? それとも「看護の仕事」?
辞めたい気持ちの中身が少し見えてくると、次の選択肢も考えやすくなります。
今の職場を離れたいのか、看護の仕事そのものから離れたいのか。すぐに答えが出なくても大丈夫です。
看護は好きだけど職場がつらい
患者さんと関わるのは好き。でも、先輩の指導や夜勤、病棟の方針がつらい。
そう感じるなら、働く場所や勤務形態を変える選択肢があります。
「今の病棟で続けられない」という経験だけで、看護師としての自分に見切りをつけなくてもいいのではないでしょうか。先ほど紹介した同級生や先輩にも、職場を変えて看護師を続けている人がいます。
看護の世界から、離れたい
職場が変わっても、看護の仕事を続けたいとは思えない。看護師という世界が合わないということがわかってしまった。
それなら、別の仕事を考える道もあります。私自身は、看護師を離れて事務職に移りました。
ただ、疲れ切っているときは、何がつらいのかを整理する余裕もなくなります。「今は分からない」なら、無理にどちらかに決めなくて大丈夫です。
「何が変われば、もう少し続けたいと思えるだろう」
そう考えてみると、自分が求めている働き方が少し見えてくるかもしれません。
私自身は1年で看護師を辞め、事務職に移りました
同級生たちのなかには、職場を変えて看護師を続けている人がいます。一方、私は看護師の仕事そのものから離れました。
44歳で看護師になった私にとって、3交代勤務と16時間夜勤の負担は想像以上でした。生活リズムが崩れ、休んでも回復が追いつかない。「慣れれば何とかなる」と思いたくても、この生活を続けている自分を想像できませんでした。
👉 44歳で看護師1年生。3交代制って地獄ですか?
👉 看護師の16時間夜勤はどんな流れ?44歳新人が経験した一晩
私は辞めることを、生活を立て直すための「戦略的撤退」と考え、事務職に転職しました。夜勤のない生活と、子どもと一緒に過ごせる夜が戻りました。辞めて失ったものより、取り戻したもののほうが、私には大きかったです。
👉 看護師から事務職へ転職して何が変わったか|手に入れた穏やかな日常と戦略的撤退のススメ
辞める前に確認したい、お金の3つのこと
職場を離れたあとの生活を守るために、お金の見通しも立てておきたいところです。特に確認したいのは、次の3つです。
- 最後の給与は、社会保険料の控除で手取りがいつもより少なくなることがある
- 病院や自治体の奨学金は、途中で辞めると返還が必要になる場合がある
- 失業給付は、原則として離職前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間が必要
私は最終月の給与がほぼゼロになり、奨学金77万円を一括で返しました。明細と返還までの流れは、こちらの記事にまとめています。
👉 看護師を辞めたら、お金はどうなる?奨学金77万円返済・翌月給与ほぼゼロの体験談
制度の最新情報は、日本年金機構やハローワークの公式サイトで確認してください。
よくある質問
Q. 半年で辞めるのは早すぎますか?
早すぎることはありません。実際に同級生のAさんは6ヶ月、Bさんは7ヶ月で最初の病院を離れています。
ただし余裕があるなら、次の職場を決めてから辞める方が安心です。
Q. 1年目でも他の病院に転職できますか?
この記事で紹介した4人は、全員1年前後で職場を変えています。
看護師の求人は多く、1年目の看護師を受け入れてくれる職場も多数あります。(→実例をもう一度読む:最初に入職した病院を離れた同級生と先輩、4人のその後)
Q. 親に申し訳なくて辞められません
親が望んでいるのは「あなたが看護師でいること」ではなく「あなたが元気でいること」のはずです。
毎日泣きながら働く姿は、親が一番見たくないものです。
まとめ:1年目で辞めた5人、それぞれに次の道があった
この記事で紹介した同級生や先輩も、最初に入職した病院を半年〜1年半ほどで離れています。
別の病院へ転職した人、介護施設で働いている人、いったん休むことを選んだ人と、それぞれ違う道を歩んでいます。
そして私は、看護師そのものを辞めて事務職へ転職しました。
最初の職場を辞めることは、看護師人生の終わりではありません。
看護師を続けたいなら、働く場所を変えることができます。
看護の仕事から離れたいなら、別の仕事を選ぶこともできます。
疲れ切っているなら、すぐに次を決めず、いったん休むという選択もあります。
大切なのは、「1年目で辞めるなんて甘えなのでは」と自分を責め続けることではなく、
自分は何がつらいのか。これからどんな働き方、どんな生活をしたいのか。
そこを考えてみることだと思います。
私自身、看護師を辞める決断は勇気がいりました。
それでも今振り返ると、あのとき環境を変えたことで、夜勤のない生活や子どもと過ごす時間を取り戻すことができ、今はストレスのない生活を送ることができています。
「今の職場で働き続ける」以外にもたくさんの道があることを知っておいてください。
👉 看護師を辞めたいけどどうしたらいいかわからない方へ。私が実際に考えた3つのこと
今より少しでも自分に合った働き方や生活に近づくために。
笑顔で生活できる環境にチェンジするのは、良い選択肢だと思います。