看護学校の面接|志望動機がまとまらない人へ。社会人の私が話した全文例と作り方
「どうして看護師になろうと思ったのですか?」
看護学校の面接に向けて準備をするとき、この質問で手が止まっていませんか。理由はあるのに、言葉にするとありきたりになる。例文を読んでも、どこか自分の気持ちとは違う。社会人からの受験なら、これまでの仕事から看護師を目指すまでを、どう説明するかも悩むところです。
私が志望動機を考えたときに軸にしたのは、以前の職場で経験した出来事でした。
社会人から看護学校へ|4ヶ月の受験勉強法と試験の中身でも触れましたが、私は「自分の経験と、看護師を目指す理由をつなげて話せること」が、面接の準備で大切だと感じています。今回は、私が実際に話した回答を、ほぼ全文で紹介します。
ただし、そのまま使える模範解答として紹介するわけではありません。実はこの回答、看護師を目指すと決めたあとに、過去の経験を振り返って組み立てたものでした。
どう考えてこの形にしたのか。今なら、どこを直すのか。そこまでお話しするので、自分の志望動機を整理するヒントにしてみてください。
私が看護学校の面接で話した志望動機【全文例】
当時、面接で話した内容を、ほぼそのまま再現します。これは「なぜ看護師になりたいのか」に答えた部分です。「なぜこの学校を選んだのか」という学校の志望理由は、別に整理しておくと話が混ざりません。
私が看護師になろうと思ったきっかけは、東日本大震災です。
当時、私はエンタテインメント系の企業に勤め、東京・赤坂のオフィスビルで働いていました。そこで、あの地震を経験しました。
勤務先は危機管理の体制が整っていて、帰宅の案内もスムーズでした。帰れない社員には防災グッズや非常食が配られ、私自身も会社に守られていると感じました。
同僚や上司の多くが徒歩で帰宅する中、私は会社に残りました。当時はまだ子どもがおらず、急いで帰る事情もなかったため、遠方に住んでいて帰宅できない同僚と一夜を過ごすことにしたのです。
ニュースには、東北の信じられないような光景が映っていました。それでも、安全なオフィスにいた私には、目の前の映像が自分と地続きの出来事だという実感が、十分にはなかったと思います。
翌日には電車が動き、大きな苦労もなく自宅に帰ることができました。
その後、被害の全容が少しずつ報道されるにつれて、事態の深刻さを知りました。何かできないかと思いながらも、当時の私は、次々と届くニュースを見つめるばかりでした。
道路の復旧にあたる人たち、自衛隊や消防、警察の方々、そして被災地へ向かう医師や看護師。専門的な知識や技術を持つ人たちが、それぞれの立場で人を支えている姿が印象に残りました。
一方、私の仕事で当時行ったのは、該当地域への配信を中止し、ホームページにお悔やみの言葉を掲げることでした。大好きで、誇りを持っていた仕事でしたが、目の前で困っている人を直接支える技術を、自分は持っていない。そのことに無力感を覚えました。
そこから、人が困っているときに、自分の知識や技術で支えられる仕事がしたいと考えるようになりました。
その思いが、私の中で看護師という仕事につながりました。
震災のときに感じた無力感と、人の役に立つ力を身につけたいという思い。それが、私が看護師を目指したきっかけです。
これが、当時の私が伝えた志望動機のほぼ全文です。
この例で参考にしてほしいのは、震災という出来事の大きさではありません。**「何を経験したか」「何を感じたか」「それが看護師を目指す気持ちにどうつながったか」**という話の流れです。
実は、看護師になると決めてから組み立てた話でした
ここで、正直にお伝えしておきたいことがあります。
先ほどの話に出てくる出来事は、実際に経験したことです。エンタメ企業の仕事に誇りを持っていたことも、震災のあとに無力感を覚えたことも、本当です。
ただし、震災を経験したそのときに、仕事を辞めて看護師になろうと決意したわけではありません。
当時の私は、好きな仕事を手放すつもりはありませんでした。「人が困っているときに、自分は何ができるだろう」と考えたものの、その思いがすぐに進路の変更につながったわけではなかったのです。
看護師になると決めてから過去を振り返り、「そういえば、あのときこんな気持ちになった」と思い出す。その経験を軸にして、面接で伝わりやすい一つの話にまとめた。それが実際のところです。
今読み返すと、「看護師になろうと思ったきっかけは震災です」という冒頭は、当時の気持ちの変化を少し単純にまとめすぎていました。
今なら、「看護師を目指すと決めてから自分の経験を振り返ったとき、震災で感じた無力感が、人を支える専門性を身につけたいという今の思いにつながっていると気づきました」と伝えると思います。
**経験を整理して伝えることと、実際にはなかった決意を付け加えることは違います。**きれいな物語にしようとするより、気持ちが変わった順序も含めて説明できる形にしておく。そのほうが、自分でも納得して話せるはずです。
私がこの経験を、志望動機の軸に選んだ理由
なぜ、私はこの話を面接で使ったのか。いちばんの理由は、自分がその場にいて、何を見て、何を感じたかを具体的に話せたからです。
実は、私の母は看護師です。そのため、「母の働く姿を見て」という伝え方もできたかもしれません。それでも私は、自分自身が社会人として経験した出来事を中心にしました。
仕事に誇りを持っていたこと。その仕事を続ける中で、自分にはない専門性について考えたこと。社会人として過ごしてきた時間を、看護師を目指す理由につなげて伝えたかったのです。
もっと正直に言うと、当時は「エンタメ企業の内側の話なら、面接官にとって珍しく、細かく突っ込まれにくいかもしれない」という計算もありました。
ただ、面接官がどんな経歴を持っているかは、こちらにはわかりません。珍しい経験だから評価されるとも限らないので、今はそこを面接対策としておすすめするつもりはありません。
私の場合、この話について深く追及されることはありませんでした。でも、それだけで「面接官が納得した」「この回答が正解だった」とは言い切れません。
むしろ、今なら「人の役に立つ仕事はほかにもある中で、なぜ看護師なのか」「その思いを持って、どんな看護を学びたいのか」まで、自分の言葉で答えられるよう準備します。
**話の珍しさより、質問されても自分の経験や考えに戻って説明できること。**この回答から参考にしてもらうなら、その部分だと思っています。
志望動機がまとまらないあなたへ。自分の言葉にする3つのポイント
ここまで読むと、「自分には、こんな大きな出来事はない」と感じるかもしれません。
でも、特別な体験を探す必要はありません。家族との会話、働く中で感じたこと、病院で接した看護師の姿。自分の気持ちが動いた場面を、ひとつ思い出すところから始めてみてください。
「母が看護師だから」という理由も、それだけで弱いわけではないと思います。母のどんな姿が心に残り、自分は何を感じたのか。そこまで言葉にできれば、自分自身の志望動機になります。
生活の安定や、資格を持って働きたい気持ちがあっても、無理に隠して立派な理由だけに置き換える必要はありません。そのうえで、「なぜ看護師という仕事を選ぶのか」を考えてみると、伝えたいことが整理しやすくなります。
私が今、準備するとしたら、大切にするのは次の3つです。
- きっかけを、具体的な場面にする。「人の役に立ちたい」だけで終わらせず、いつ、どんな経験をして、そう感じたのかを書き出します。
- **その経験から、なぜ看護師なのかを考える。**心に残った出来事と、看護師の仕事のどこにひかれたのかをつなげます。学校を選んだ理由を聞かれたときは、その学校で学びたいことも別に説明できるようにしておきます。
- **声に出して、聞き返されても答えられるか確かめる。**文章を丸暗記するより、伝えたい要点をつかむこと。「なぜそう思ったの?」と聞かれたときに、自分の言葉で話せるかを確認します。
最初から、面接用の整った文章にしなくて大丈夫です。「経験したこと」「そのときの気持ち」「看護師として学びたいこと」を、まずは一文ずつ書いてみてください。その3つをつなぐと、志望動機の土台になります。
私の回答も、今振り返れば直したいところがあります。だからこそ、例文を正解として覚えるより、自分の経験を整理する材料として使ってもらえたらうれしいです。
面接で伝えるための理由と、自分が進路を選んだ本音。その両方を整理したい方は、私が40代で看護師を目指した理由も読んでみてください。これからの働き方を考えるうえで、重なる部分があるかもしれません。
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